コラム

らっこ保育園の閉園のご案内

平成23年度から市からの委託契約で運営しております病児保育事業の質と量の向上(給食の提供、4人から9人への定員増)を目的に、平成27年度に子ども子育て支援法が施行されれば、子育て支援事業への参入が容易になるという想定を信じて、あぶみ小児科クリニックの隣の閉店したカニ料理店を改装して、平成25年5月13日に個人事業の認可外保育園として、らっこ保育園を開園しました。

認可外保育園ではありますが、スタッフ配置(全員保育士)、給食(栄養士による園内調理)で、教育内容、施設ともに認可保育園と同じ水準の保育園として運営してきました。「病気で休まなくていい保育園」という新機軸を打ち出し、幼児教育では最も有効性の高い「モンテッソーリ教育」を実践することで、保育だけでなく教育機能も十分に兼ね備えた保育園でした。しかし、経営はどうしても大幅な赤字経営でした。認可保育園と同水準の運営が理由ですが、この規模の保育園で保育園施設運営基準を順守するならば、黒字経営は不可能というのが現実でした。

らっこ保育園は年間約2000万円の赤字経営です。平成27年4月に子ども子育て支援法が施行されれば、状況に変化が生じるのではないかと期待しました。大阪府に認定こども園の申請をする前に、岸和田市の設置許可が必要でした。岸和田市の5年計画では、現在ある認可園の定員増と民間園に0~2歳児対象の小規模分園の建設を促しますが、認可園の新規認可の計画はなく、不許可でした。

社会福祉法人に経営委譲して、分園として事業継承できないか探りましたが、移譲先は見つかりませんでした。岸和田市民病院の託児所との連携の可能性もありませんでした。

行政への異議申し立てに、27年3月から2カ月間で請願署名を集めました。市議会選挙があったので請願書の署名集めを先行し、選挙後に紹介議員を探しました。井舎英生議員が承諾してくださり紹介議員の署名を頂きましたが、市議会で文教民生常任委員会の委員に選出され、請願の審議をする委員会の委員は紹介議員になれないという岸和田市議会の取り決めのために、紹介議員にはなれないことになりました。井上博議員に紹介されたコンサルタントに依頼し、保育課、児童育成課と交渉しました。補助金獲得の可能性、障害児保育や社会福祉法人化への道などを検討しましたが、実現の可能性はありませんでした。

有効な紹介議員の署名を得られず、請願書ではなく、①認可外保育園への補助金②新規認定こども園の認定③病児保育の継続の3項目の陳情書を、27年8月21日に市議会議長に提出しました。9月2日の文教民生常任委員会でこの陳情が審査され、結論の不明瞭な回答を得ました。市長決裁を期待して、認定こども園の申請書を信貴市長に11月13日に提出したところ、市長の回答は不可でした。井舎議員に市長と直談判してもらい、判断は前保育課長である副市長に委ねられました。市長の最終結論は、岸和田市ではこれまで保育は社会福祉法人だけに委ねられてきたので、らっこ保育園が社会福祉法人を取るというのなら設置許可をするというものでした。

社会福祉法人成りには、社会福祉事業をする土地建物のうち、土地は定期借地権付きで借地の権利を確保していれば可能なのですが、建物は必ず自己所有でなければ認められません。らっこ保育園の土地と建物はウィンディ岸和田の3つの管理会社の共有名義なので、これを新しい社会福祉法人に売却してもらって自己所有することは不可能です。

子ども子育て支援法は目標を示す法律であって強制力はなく市町村の裁量に任されているので、岸和田市の保育は社会福祉法人に限定という従来路線というのなら仕方ありません。

八方手を尽くしましたが、保育園の存続は不可能と判断しましたので、平成28年3月末をもちまして、らっこ保育園を閉園します。

保護者と園児の皆様には多大なる迷惑をおかけすることは大変に申し訳なく存じます。

らっこ保育園  園長  鐙 連太郎

2016.4.2

クスリはリスク

始めから読んだ場合と終わりから読んだ場合とで文字の順番が変わらず、言語として意味が通る文字列なので、これは回文(英語ではpalindrome) です。私は「クスリはリスク」が、医学領域では一番の回文だと思っています。 

今から35年前、私がまだ医学部の学生だった頃、最初の薬理学の授業で、これだけは覚えておくようにと言われたのが「クスリはリスク」でした。短い回文で覚え易くて真実なので、教えを守り、未だに忘れていないです。

生物が摂取する物は、食物と毒物に大きく分けられます。食物は体にとって栄養になるので望ましい物で、毒物は体に良くない作用をもたらすので望ましくない物です。薬物は、体に特有の作用をもたらすけれども決して栄養にはならないので、限りなく毒物に近い物です。病気で症状がある場合のみ、薬物を服用することで引き起こされる作用で症状が緩和されることが望まれるので、毒物と区別されるだけです。毒物は摂取量が多かろうと少なかろうと毒です。薬物は少なければ効果がなく。適量を超えて過剰に摂取すれば副作用が現れて、毒物としての本性を現します。医師または薬剤師という専門知識を有する専門職だけが、本来毒物である薬物を適切に使用して薬物にできるのだから、これから始まる薬理学の授業では毎回しっかり勉強しなさいという言葉で、最初の授業は締められました。 

薬理学は好きな教科だったのでよく勉強して成績も良かったのですが、私は熱心な「クスリはリスク」教の信者なので、クスリ好きではありません。患者さんからしょっちゅう病気をうつされて熱が出たり下痢をしたりしていますが、めったにクスリは飲みません。発熱、鼻汁、咳嗽、嘔吐、下痢、痛みなど、どれも嫌な症状ですけれども、全て体を守るための防御反応なので、焦ってすぐに症状を取り去ろうとするよりも、症状を受け入れてこれを利用して病気を早く治し、どうも自力では難しそうだと判断される、ここぞという時点で薬物は使うべきです。診断の付く前のクスリの早打ちなど失敗のもとです。 

疫学データを総括すれば、日本人が長生きになったのは、どちらかと言えば医療の進歩と普及よりも栄養と環境が良くなったからです。つまり、薬物より食物のおかげです。「クスリはリスク」と念じて日々の診療をしていますので、もし診療の合間に質問していただけたら、クスリ以外の健康生活のコツのようなものをお伝えできると思います。 

2015.7.3


 岸和田は、せっかちな人が多いようで、すぐに治してくれ、すぐにクスリを出してくれと言われて困ることが多いです。常々、時間に余裕があれば、「クスリはリスク」を、全員に伝えたいと思っているので、2つ目のコラムはこの題にしました。

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小児科医は最初の医者に、内科医は最後の医者になりたがる

「男は愛する女の最初の男になりたがり 女は愛する男の最後の女になりたがる」という有名な言葉があります。男女の恋愛観の違いを言い得ていますが、男女の生物的な違いから繁殖戦略上こうする方がそれぞれに有利だということです。イギリスの劇作家のオスカー・ワイルドの言葉です。 

「小児科医は患者の最初の医者になりたがり、内科医は患者の最後の医者になりたがる」は、オスカー・ワイルドの言葉に倣った私のたとえ話です。小児科医が男らしくて内科医が女っぽいという話ではありません。 

内科の患者はあちこちの医者にかかってから、一番自分に合う医者をかかりつけ医にするということになり、以後、死ぬまでお付き合いするということになります。内科の患者は年を取るに従い病気で医者にかかる機会が増えるので、初めの頃に診てもらっていた医者よりも最後の医者、すなわち、かかりつけ医に診てもらう機会が一番多くなります。内科医にとって多くの患者の最後の医者になるということは、患者数を確保するということになり、医師としてやっていくには有利なのです。 

小児科の場合は保護者に決定権があり、あちこちの医者にかかってからかかりつけ医を決めようとする人もいますが、子どもの病気は待てないことが多いので、あちこち行く余裕がなく、さっさと行き先を決めねばならないものです。最初に当たった小児科医に満足したら、そのまま、かかりつけの小児科医にしてしまいます。子ども時代は短くて小さいうちに大半の病気に罹ってしまい、小児科を受診してくれる期間はこども医療証のある間ぐらいしかなくて、小学生くらいになると診てもらう機会が急激に減ることになります。小児科医にとって多くの患者の最初の医者になるということが、患者数を確保するということになり、医師としてやっていくには有利なのです。 

私は最初の医者になりたがる小児科医なので、産科を退院された赤ちゃんがワクチンや診察で最初に診察室に来てもらえたら、正直言って嬉しいです。「初診、忘れるべからず」などと、心の中で叫んでしまいます。 

2015.6.20


あぶみクリニックとあぶみ小児科クリニックの2つの診療所の行き来で、忙しすぎて書けてなかったブログページですが、これからは、日常の気づいたことや普段話していることなどを中心に書いていきますので、よろしくお願いします。

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